給与前払いサービスは法律上の貸付ではありません。だから信用情報に記録されず、総量規制の枠にも含まれない。ここに落とし穴があります。毎月5万円を定率6%で前払いしながら30万円を借りている場合、年間の負担は90,000円ですが、記録に表れるのは借入分の54,000円だけ。残りの36,000円は、どこにも見えないまま出ていきます。
記録に残らない負担がある
前払いサービスと借入を併用した場合の年間負担を並べます。
| 手段 | 年間の負担 | 信用情報での見え方 |
|---|---|---|
| 給与前払い 5万円を毎月(定率6%) | 36,000円 | 記録されません |
| 借入 30万円(年18.0%) | 54,000円 | 残高30万円として記録 |
| 合計 | 90,000円 | 30万円分しか見えません |
率と定額の水準はサービスごとに定められています。上の表は記載の条件で計算したものです。
実際の負担90,000円のうち、記録に表れるのは54,000円分だけです。審査で見えないだけでなく、自分でも把握しにくい。給与から自動的に差し引かれる形だと、なおさら意識に上りません。
なぜ貸付として扱われないのか
前払いサービスが受け取らせているのは、すでに働いて発生した賃金です。まだ支払期日が来ていないだけで、労働の対価としては確定している。
貸付は、貸し手の資金を渡して後で返してもらう行為です。前払いは自分の賃金を前倒しで受け取るだけなので、返す義務は生じません。次の給与から差し引かれて精算されます。
| 貸金業者からの借入 | 利息制限法の上限が適用され、信用情報に登録されます。 |
|---|---|
| 給与前払いサービス | 貸付ではないため上限金利の適用外。記録も残りません。 |
この整理があるため、手数料の水準に法的な上限はありません。年率に直すと高くなるのはそのためです。
枠を使わずに済む利点と裏側
記録が残らないことは、利点にもなります。
総量規制の枠を消費しないため、借入の余地を残したまま資金を用意できる。将来ローンを組む予定があるなら、記録が増えないこと自体に意味があります。
| 利点 | 枠を使わず、記録も残りません。審査への影響がありません。 |
|---|---|
| 裏側 | 上限がないため、使いすぎに歯止めがかかりません。 |
借入であれば年収の3分の1で止まりますが、前払いにはその線がありません。毎月使い続けても、制度上は誰も止めない。自分で回数を管理するしかないということです。
借入側の枠の考え方は総量規制の解説にまとめました。
定額型か定率型かで6倍違う
手数料の型が、負担を大きく左右します。
| 定率6%で5万円 | 1回3,000円。毎月なら年間36,000円。 |
|---|---|
| 定額500円で5万円 | 1回500円。毎月なら年間6,000円。 |
同じ金額を同じ回数受け取っても、6倍の差が出ます。定率型は前借額に比例するため、まとまった額を受け取るほど重くなります。
勤務先が入れているサービスがどちらの型かは、社内の案内や利用画面を見れば分かります。使う前に一度見ておく価値があります。
費用の生じない制度
法律上、勤務先に支払いの義務が生じる場面があります。労働基準法第25条です。
条文は、非常の場合の費用のために請求があったときの支払義務を会社に課しています。対象は、その時点までに働いた分の賃金です。手数料は発生しません。
| 対象になる事由 | 出産、疾病、災害、結婚、死亡、やむを得ない事由による1週間以上の帰郷など |
|---|---|
| 対象になる金額 | 請求時点ですでに働いた日数分の賃金です。 |
対象は本人に限られません。その収入で生計を立てている家族に起きたことも含まれます。突然の医療費のような場面では、まずここに当たるかを見てください。
記録という観点でも、この制度は他と性質が違います。前払いサービスは信用情報には残りませんが、給与計算の上では控除として社内に記録が残ります。非常時払いは賃金の支払期日を早めるだけなので、控除も立替も生じません。残らなさの度合いが一段深いということです。
| 貸金業者からの借入 | 信用情報に契約として記録されます。枠も消費します。 |
|---|---|
| 前払いサービス | 信用情報には残りませんが、給与明細に控除として現れます。 |
| 非常時払い | 支払期日が早まるだけで、控除も立替も発生しません。 |
就業規則に定めがある場合
サービスを通さず、勤務先が直接立て替える形もあります。就業規則に規定を置いているか、総務や経理が個別に判断するかのいずれかです。
費用の面では最も軽くなります。会社が一時的に立て替え、次の給与から差し引くだけなので、手数料を取る理由がありません。信用情報にも残りません。
そのかわり、残り方が変わります。申請書を出すことになるため、社内には最も濃い記録が残ります。前払いサービスなら控除の1行で済むところが、こちらは理由まで書面に残るということです。対象を慶弔や災害に限っている会社が多いのも、この書面が前提になっているためです。
費用を取るか、社内に残さないほうを取るか。同じ「前借り」でも、この二つは逆を向いています。判断の材料は金額ではなく、勤務先に事情を伝えられるかどうかです。
勤務先に知られないことを最優先にするなら、借入側でも同じ論点が出てきます。連絡の扱いと代わりになる書類は在籍確認の解説で分けました。
自分の負担を数える方法
記録に残らない以上、把握するのは自分の作業になります。三つ書き出せば足ります。
| 書き出すもの | 調べ方 |
|---|---|
| 前払いの利用回数と手数料 | サービスの利用履歴に残っています。過去12か月分を数えます。 |
| 借入の利息 | 明細の利息欄を12か月分足します。 |
| ATM等の手数料 | 1回110円から220円。回数を掛けます。 |
この三つを足したものが、1年間に金融の手続きだけで出ていった金額です。前払いの手数料が入っていないと、実態より軽く見えます。
年に何度も使っている場合、手段を差し替えるより収支の側を見直したほうが効きます。前払いを繰り返す状態は、毎月の支出が収入を上回っている合図でもあるからです。返済がすでに複数ある場合の整理はおまとめの解説に置きました。
個人間での立て替えを名乗る勧誘
注意しておきたい形態があります。SNSなどで「給料日まで立て替えます」と持ちかけるものです。
実質は貸付にあたるため、これを業として繰り返すなら貸金業の登録が要ります。無登録で行えば貸金業法違反にあたります。名目が手数料であれ謝礼であれ、返す額が受け取った額を上回るならそれは利息です。
さらに、身分証と勤務先を相手に渡した結果、その情報が取り立てや別の目的に使われたという相談が寄せられています。相手が登録業者かどうかは金融庁の検索で確認できます。
登録を受けた業者であれば、契約書面の交付も取立ての方法も法律の枠内で決まっています。登録の確認方法を先に見てください。
1回だけなら判断は変わる
ここまでは繰り返し使う場合の話です。年に1回という使い方なら、結論は変わります。
給料日まで10日という場面で5万円を受け取る場合、定額500円型なら500円。同じ5万円を年18.0%で10日借りれば247円です。差は253円しかありません。
| 定額500円の前払い | 500円。申込も審査もなく、その場で受け取れます。 |
|---|---|
| 借入(年18.0%・10日) | 247円。ただし契約がなければ審査から始まります。 |
| 定率6%の前払い | 3,000円。1回だけでも、借入と比べて12倍かかります。 |
差が数百円であれば、手続きの手軽さを優先する判断は十分に成り立ちます。問題になるのは頻度と、定率型を繰り返し使う場合です。
少額を短期で借りる場合の内訳は名古屋の少額融資に金額別で出しました。
名古屋で利用する場合
使えるかどうかを決めているのは勤務先です。名古屋市内に住んでいても、勤務先が県外にあれば従うのはその会社の制度になります。住所で変わる部分はありません。
愛知県内は製造業の事業所が多く、交替勤務やシフト制の職場ではこの種のサービスを入れている例が比較的見られます。ただし導入されていること自体は、条件が良いことを意味しません。定率型であれば、受け取る額が増えるほど手数料も比例して増えます。導入の有無より型を先に確かめてください。
非常時払いのほうは勤務先の裁量ではなく、労働基準法にもとづく権利です。全国どこでも同じ扱いになります。窓口は住所地ではなく勤務先の所在地を管轄する労働基準監督署で、市内であれば名古屋北労働基準監督署などが受け持ちます。
前借りで足りるかどうかは、必要な額と時期で決まります。足りない場合の選択肢は名古屋でお金を借りるから辿ってください。
よくある質問
給与前払いは信用情報に載りますか?
なぜ貸付として扱われないのですか?
記録が残らないのは有利ではないのですか?
定額型と定率型でどれくらい違いますか?
手数料の要らない前借りはありますか?
自分の負担はどう数えればよいですか?
名古屋市の地図
社会福祉協議会は市内16区のすべてにあります。生活福祉資金の相談と申込はここが入口になります。