親の介護が始まると、費用の立て替えが子の側に寄ります。親に資産があっても、認知症などで判断する力が落ちれば、金融機関は口座からの出金を止めることがあります。そこから先、医療費も施設の費用も子が先に払うことになります。仕事を辞めれば収入が消え、年収の3分の1という枠もなくなります。介護休業なら雇用が続き、給付金として賃金のおよそ67%を受け取れます。月給25万円なら93日分でおよそ519,000円です。
立て替えが子の側に寄ります
親の判断する力が落ちると、親名義の口座からお金を動かせなくなることがあります。資産があるかどうかとは別の問題です。
| 本人が窓口へ行けない | 代理での出金には手続きが要ります。金融機関ごとに扱いが違います。 |
|---|---|
| 判断する力が落ちたと分かった | 本人の財産を守るため、取引が制限されることがあります。 |
| その間の支払い | 医療費も介護の費用も、期日は待ってくれません。 |
だから親に十分な資産があっても、手元の現金が足りないという状態が起こります。立て替えているのは子で、返ってくるのは後になります。
ここが介護に伴う借入のいちばん多い形です。収入が足りないのではなく、動かせない資産があるという構造です。
辞めると枠もなくなります
介護のために仕事を辞めるという判断は、資金の面では最も不利になります。
| 状況 | 年収 | 枠の上限 |
|---|---|---|
| 働き続ける | 3,000,000円 | 1,000,000円 |
| 介護休業を取る | 雇用は続きます | 収入の申告額は下がります |
| 辞める | 0円 | 0円 |
貸金業者からの借入は年収の3分の1までという規制をあてはめた目安です。そこから何円が認められるかは各社の判断です。
表の最終行では、貸金業者から借りること自体が原則としてできなくなります。返済していける見込みを調べることが、貸金業法第13条によって義務づけられているからです。
介護の費用が要るから辞める、辞めたから借りられない。この順序に入らないでください。
介護休業なら約519,000円受け取れます
雇用保険には、介護のために休んだ期間を支える給付があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得できる期間 | 対象家族1人につき通算93日まで |
| 分割 | 3回まで分けて取れます |
| 給付の水準 | 休業開始時の賃金のおよそ67% |
| 月給25万円の場合 | 93日分でおよそ519,000円 |
月給25万円を前提に、賃金の67%として概算したものです。支給の要件、上限額、計算方法は制度の定めにより、変更されることがあります。
93日は3か月ほどです。介護のすべてをこの期間でまかなうことはできませんが、体制を作る時間にはなります。
その間に、施設やサービスの手配、親の資産を使える形にする手続きを進めることになります。
親の資産を使える形にしておく
止まった口座を動かすには、手続きが要ります。
| 成年後見 | 家庭裁判所が後見人を選びます。本人の財産を管理できるようになります。 |
|---|---|
| 任意後見 | 判断する力があるうちに、あらかじめ契約しておく形です。 |
| 代理人の届出 | 金融機関によっては、家族を代理人として登録する仕組みがあります。 |
いちばん下は元気なうちにしかできません。上の二つも、下の一つも、必要になってからでは間に合わない部分があります。
成年後見は申立てから選任まで数か月かかることがあります。その間の費用は、やはり子が立て替えることになります。
手続きの内容は家庭裁判所や、後述の相談窓口で確かめてください。
医療と介護は合算できます
負担を減らす仕組みのなかで、見落とされやすいものがあります。
1年間に支払った医療費と介護の自己負担を合わせて、一定の上限を超えた分が払い戻される制度があります。医療だけ、介護だけで見ていると気づきません。
| 対象 | 同じ世帯で、医療保険と介護保険の両方に自己負担がある場合です。 |
|---|---|
| 期間 | 年単位で計算されます。 |
| 手続き | 申請が要ります。自動では戻りません。 |
上限額は所得の区分によって定められています。窓口で自分の世帯がどの区分かを確かめてください。
戻る見込みがあるなら、借りる額はその分だけ減らせます。ただし戻るまでには時間がかかります。
民間より先に見る窓口
借入を申し込む前に、当たっておくべき先がいくつかあります。
| 地域包括支援センター | 介護に関する相談の入口です。制度全体の案内を受けられます。 |
|---|---|
| 高額介護サービス費 | 月の自己負担が上限を超えた分が払い戻されます。 |
| 社会福祉協議会 | 生活福祉資金の貸付です。緊急小口資金は無利子です。 |
| 高額療養費 | 医療費の自己負担に上限を設ける仕組みです。 |
いちばん上が入口です。どの制度が使えるかを、そこで一度に整理してもらえます。
どの資金がどんな条件で使えるかは生活福祉資金で扱いました。医療費そのものの負担を抑える仕組みは今すぐお金が必要なときにも触れています。
借りる額の決め方
借りると決めたら、額は埋まらない差額だけにしてください。
手元の残高、次の給与、給付として入る予定額、払い戻される見込みの額。これらを請求額から引いた残りが、借りる額です。
親の資産から後で精算できるなら、その分は借りる必要がありません。ただし精算の見込みが立たないうちは、数に入れないでください。
3分の1がどう計算されるかは総量規制の解説に、判断の材料になる項目は審査基準にまとめました。
岡山で相談できる先
市内には4つの区があり、地域包括支援センターは日常生活の圏域ごとに置かれています。担当になるのは、介護を受ける本人が住んでいる地域です。
社会福祉協議会も市内4区に置かれています。相談の受け皿になるのは、住民登録がある区の協議会です。
親と子が別の市に住んでいる場合、介護保険の窓口は親の住所地です。子の住所地ではありません。
契約がもつれたときは消費生活センターへ、法律の判断が要る問題は法テラスへ持ち込めます。期日が迫っている場面での動き方は今すぐお金が必要なときにまとめました。
よくある質問
親に資産があるのに払えないのはなぜですか?
介護のために仕事を辞めるべきですか?
介護休業ではいくら受け取れますか?
親の口座を動かせるようにできますか?
医療費と介護費は別々に考えますか?
どこに相談すればよいですか?
岡山市の地図
社会福祉協議会は市内4区のすべてに置かれています。担当になるのは住民登録のある区で、介護保険の窓口は介護を受ける本人の住所地です。