すでに働いた分の賃金を請求する権利には、期限があります。労働基準法の改正により、賃金請求権の時効は当面3年とされています。3年前の未払い分は請求できても、それより前は消えます。前借りを考える場面で見落とされやすいのが、この「すでに自分のものになっているはずの賃金」です。借りる前に、受け取っていない分がないかを確かめてください。
前借りには2つの型があります
すでに働いた分を先に受け取るのが非常時払い、まだ働いていない分を受け取るのが貸付です。同じ言葉で呼ばれますが、性質はまったく別です。
非常時払いは労働基準法第25条が定める権利で、決められた事由に当てはまれば支払日より前に請求できます。もともと発生している賃金を前倒しで受け取るだけですから、利息という考え方が入りません。
これに対し、まだ労働していない分を先に受け取れば、それは勤務先を相手にした借入です。返す義務が生まれ、定めによっては利息も乗ります。そもそもこうした制度を置いていない会社も多くあります。
受け取っていない賃金には期限があります
前借りの前に確かめておきたいのが、そもそも払われていない分がないかという点です。
| 対象 | 請求できる期間 |
|---|---|
| 賃金(給与、残業代など) | 支払日から3年 |
| 退職金 | 5年 |
| 年次有給休暇の権利 | 2年 |
労働基準法にもとづく期間です。賃金請求権については、改正により当面の間3年とされています。個別の事案は労働基準監督署にご確認ください。
未払いの残業代がある場合、3年より前の分は請求できなくなります。心当たりがあるなら、借りることを考える前に勤務先へ確認してください。
これは借入ではないので、利息も審査もありません。信用情報に何かが残ることもありません。
未払いに心当たりがあるとき
時効が3年ということは、逆に言えば3年分はさかのぼれるということです。
| まず集める | 給与明細、タイムカードの記録、勤務表、業務の連絡が残るメールなど。 |
|---|---|
| 次に照らす | 働いた時間と支払われた額が合っているか。割増の率は正しいか。 |
| それから相談 | 勤務先に直接尋ねるか、労働基準監督署へ持ち込むか。 |
記録が手元にないと話が進みにくいので、集めるところから始めてください。給与明細を捨てている場合でも、勤務先には保存の義務があります。
この手続きは借入ではないため、審査も利息もありません。信用情報に何かが残ることもなく、枠を消費することもありません。急ぎの資金が必要な場面と並行して進められます。手段の比べ方は借入先の違いを比較にまとめました。
非常時払いで請求できる範囲
請求できるのは、その時点ですでに働いた分までです。月給を日数で按分して考えます。
月給24万円で月末締めなら、10日の時点で8万円、20日の時点で16万円が目安になります。まだ働いていない残りの分は対象外です。
日割りの計算方法は勤務先の賃金規程によります。暦の日数で割る場合と、所定労働日数で割る場合があり、後者のほうが1日あたりの額は大きくなります。
時給や日給で働いている場合は、実際に働いた時間や日数に単価を掛けた額がそのまま上限です。シフト制なら、直近の勤務実績を手元で数えておくと話が早く進みます。
対象となる事由
理由を問わず使えるものではなく、労働基準法施行規則が対象となる事情を列挙しています。
| 出産、疾病、災害 | 申請する本人に限らず、生計を共にしている家族の事情も対象です。 |
|---|---|
| 結婚、死亡 | 本人または生計を同じくする者に関するものです。 |
| やむを得ない帰郷 | 1週間以上にわたって帰郷する場合が想定されています。 |
家族の事情まで含まれることは、あまり知られていません。同居する親の入院や、実家が被災した場合も該当します。
何に使うのかを詳しく述べる義務はありません。判断されるのは列挙された事情に当てはまるかどうかであって、そのあとの用途は問われないからです。もっとも、事情を裏づける書類の提示は求められる場合があります。
超えた分は貸付になります
すでに働いた分を超える額は、賃金の前払いではありません。
勤務先が貸し手になる場合の根拠は、就業規則か個別の取り決めです。利息を付けない運用が多いものの、そもそも仕組みを持たない会社も相当数あります。返し方としては給与からの控除が通例です。
ただし控除には枠がはめられています。労働基準法は賃金の全額払いを原則としており、天引きするには労使協定などの裏づけが必要です。どう返すことになるのかは、事前に勤務先へ確かめておいてください。
勤務先に制度がない場合の選択肢は川崎でお金が必要にまとめました。
前払いサービスとの違い
民間の事業者が提供する、働いた分を先に受け取れるサービスがあります。
| 非常時払い | 法律上の権利です。事由が要りますが、費用はかかりません。 |
|---|---|
| 前払いサービス | 事由は問われませんが、利用のたびに手数料がかかります。 |
| 勤務先からの貸付 | 制度がある会社に限られます。天引きで返すのが一般的です。 |
前払いサービスが取る手数料には、1回いくらという形と、受け取る額に対する率という形があります。細かく何度も使えば固定費が重なる構図は、借入とまったく同じです。
金額が小さいほど固定費用の重みが増す関係は川崎の少額融資で数字にしました。
買取をうたう相手
給与を買い取る、給与ファクタリングといった呼び方で近づいてくる相手には注意してください。
賃金債権を譲渡するという体裁でも、中身が貸付であれば貸金業の登録なしには行えません。登録を持たない相手がこれを営めば無登録営業にあたり、10年以下の懲役または3,000万円以下の罰金が科されます。
名目を手数料としていても、年率に直したときに上限を超えていればその時点で違法です。相手の登録を照合する手順は川崎の正規貸金業者に置きました。
川崎で相談できる先
賃金の支払いに関する相談は、労働基準監督署が窓口です。勤務先の所在地を管轄する署が担当になります。
川崎市内には複数の署がありますが、勤務先が東京都内や横浜市にある場合は、そちらを管轄する署が窓口です。住んでいる場所ではなく、働いている場所で決まります。
| 労働基準監督署 | 未払い賃金、非常時払い、天引きの適法性について相談できます。 |
|---|---|
| 川崎市消費生活センター | 買取をうたう相手とのやり取りについて扱います。 |
| 各区の社会福祉協議会 | 生活費そのものが不足している場合の公的な貸付の窓口です。 |
いずれも相談に費用はかかりません。公的な貸付の条件は生活福祉資金に並べました。
よくある質問
受け取っていない賃金はいつまで請求できますか?
前借りにはどんな型がありますか?
いくらまで請求できますか?
理由は問われますか?
天引きで返すのは適法ですか?
給与を買い取るという勧誘は信用できますか?
川崎市の地図
社会福祉協議会は市内7区のすべてに置かれています。担当になるのは住民登録のある区です。