公的な貸付は無利子か年1.5%程度で、条件だけを見れば民間に勝ちます。ただし窓口へ行くことが前提です。都内へ通勤している人が平日の日中に区役所や社会福祉協議会へ行くには、半休を取ることになります。月収30万円で月20日勤務なら日給は15,000円、半休は7,500円。相談と申請で2回行けば15,000円が消えます。12万円を年18.0%・10回で借りたときの利息は10,121円ですから、この額なら民間のほうが実質的に安いということになります。
窓口へ行く時間には値段があります
手段を比べるときは、金利だけでなくそこへ行くための時間も数えてください。通勤している人にとって、平日の日中はいちばん高い時間帯です。
公的な貸付制度は無利子または低利で、金利だけを見れば選ばない理由がありません。ところが申込は窓口で行うのが基本です。相談で1回、申請で1回。書類が足りなければもう1回。
都内へ通勤していれば、区役所や社会福祉協議会の受付時間はちょうど自分が職場にいる時間です。行くには半休を取るか、有給を使うことになります。
| 前提 | 金額 |
|---|---|
| 月収 | 300,000円 |
| 月20日勤務としたときの日給 | 15,000円 |
| 半休1回 | 7,500円 |
| 相談と申請で2回 | 15,000円 |
月収30万円・月20日勤務を前提にした説明用の試算です。有給休暇を使う場合は賃金が減るわけではありませんが、その分を他に使えなくなるという意味では同じ性質の費用になります。
この15,000円は請求書に載りません。だから比較の表にも出てきません。それでも実際には出ていっています。
分かれ目は約178,000円です
では、いくらから公的な制度のほうが得になるのか。借りる額で答えが変わります。
| 借りる額 | 年18.0%・10回の利息 | 半休2回の15,000円と比べて |
|---|---|---|
| 120,000円 | 10,121円 | 民間のほうが4,879円安い |
| 178,000円 | 15,013円 | ほぼ同じ |
| 300,000円 | 25,303円 | 公的のほうが10,303円安い |
年18.0%・元利均等・10回で計算した概算です。公的制度の利息をゼロ、窓口へ行く回数を2回として比べています。
およそ178,000円が境目です。これを下回る額なら、オンラインで完結する民間のほうが、時間まで含めた実質では安く済みます。上回るなら、半休を取ってでも公的な制度を使う価値があります。
金額が大きくなるほど利息は比例して増えますが、窓口へ行く手間は増えません。だから借りる額が大きいほど、公的な側が有利になっていきます。
逆に言えば、数万円の不足に無利子の制度を使おうとして半休を2回取るのは、割に合わない判断だということです。
半休を使わずに済む方法
15,000円という前提は、動かせる場合があります。
| 土曜開庁を使う | 自治体によっては月に数回、土曜に窓口を開けています。証明書の交付だけ扱う日もあります。 |
|---|---|
| 郵送で請求する | 課税証明書などは郵送でも取れます。往復に1週間ほどかかります。 |
| コンビニ交付を使う | マイナンバーカードがあれば、対応している証明書は端末から取得できます。 |
| 電話で先に聞く | 行く前に要件を確かめれば、書類不足でもう1回という事態を防げます。 |
ただし相談そのものは窓口で行うのが原則です。証明書の取得だけなら上の方法で置き換えられますが、生活福祉資金の申込は担当者と話す工程が入ります。
四つ目がいちばん費用対効果が高いところです。1回で済ませられるかどうかで、7,500円が動きます。
住んでいる場所と働く場所が割れています
都内へ通勤していると、手続きの相手が二つに分かれます。どちらを見るかは制度ごとに決まっています。
| 手続き | 基準になる場所 |
|---|---|
| 在籍確認の電話 | 勤務先。都内の会社にかかります。 |
| 課税証明書の発行 | 住民登録のある自治体。さいたま市です。 |
| 生活福祉資金の窓口 | 住民登録のある区の社会福祉協議会。 |
| 源泉徴収票の発行 | 勤務先。都内の会社です。 |
混ざりやすいのは書類の取り寄せです。年収を示す書類は勤務先から、住所を示す書類は自治体から。片方だけそろえて窓口へ行くと、もう1回になります。
申し込む前に、どちらから何を取るかを紙に書き出しておいてください。この一手間が半休1回ぶんに相当します。
借りられる上限の決まり方
貸金業者から借りられるのは、年収の3分の1までです。総量規制といい、他社の残高も合算されます。
| 年収300万円 | 約100万円まで |
|---|---|
| 年収450万円 | 約150万円まで |
| 年収600万円 | 約200万円まで |
公的な貸付制度はこの枠の外に置かれています。民間ですでに枠を使い切っていても、そちらとは切り離して相談できるということです。額が大きいほど公的な側を選ぶ理由になるのは、この点も効いているためです。
銀行は銀行法にもとづくため法律上の枠はかかりませんが、2017年以降は各行が自主的な上限を置いています。枠の数え方は総量規制の解説、審査で見られる中身は審査基準にまとめました。
猶予の長さで手段が入れ替わります
金額の次に効くのは、いつまでに要るかです。
| 当日から数日 | 消費者金融が中心です。銀行は審査に警察庁データベースへの照会が入るため当日には届きません。 |
|---|---|
| 2週間から1か月 | 銀行のカードローンが候補に入ります。年14.0%前後の水準です。 |
| 1か月以上 | 公的な貸付制度が使えます。ここで半休の話が効いてきます。 |
公的な制度は交付までに2週間から1か月かかります。つまり時間に余裕があるときにしか選べず、その余裕があるときには窓口へ行く日程も組めます。急いでいるほど、窓口の要らない手段しか残らないということです。
制度ごとの上限と返す期間は生活福祉資金に、手段ごとの費用と速さの違いは借入先の違いを比較に並べました。返済がすでに複数あるなら、借り足すより先に整理する順序になります。まとめて軽くなるかどうかの見分け方はおまとめの解説で扱っています。
避けたほうがよい相手
時間がないときほど、手軽そうな相手に流れます。
| 登録のない業者 | 無登録での営業は10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金にあたります。 |
|---|---|
| 審査なしをうたう相手 | 返済能力の調査は貸金業法第13条の義務で、省略できると掲げること自体が枠の外にいる証拠です。 |
| 先に費用を求める相手 | 契約の前に保証料や手数料の名目で入金させるのは正規の手順ではありません。 |
| 個人間での貸し借り | 相手の素性も条件も確かめようがありません。 |
確かめる先は金融庁の登録貸金業者情報検索サービスです。番号が引けたというだけで終わらせず、表示された商号と所在地が申込先と揃って一致しているかまで見てください。突き合わせの進め方は正規の貸金業者に置いてあります。
さいたま市10区の相談先
費用のかからない窓口が市内にあります。
| 各区の社会福祉協議会 | 生活福祉資金の相談と申込を受け付けています。 |
|---|---|
| さいたま市の消費生活総合センター | 契約や取り立てに関する相談を扱います。 |
| 埼玉県の貸金業担当課 | 県知事登録の業者について、相談と登録の確認に応じます。 |
| 関東財務局 | 財務局長登録の業者を担当する窓口です。 |
西、北、大宮、見沼、中央、桜、浦和、南、緑、岩槻の10区それぞれに社会福祉協議会が置かれています。担当になるのは住民登録のある区で、勤務先が都内であっても関係ありません。
受付の時間は窓口ごとに違います。半休を取って行くのであれば、その日に何ができるかを電話で確かめてから予定を組んでください。行ってから出直すことになれば、費用は倍になります。
県内だけに営業所を置く業者は埼玉県知事の登録、複数の都県にまたがれば関東財務局長の登録になります。どちらであっても適用される法律と上限金利は変わらず、読み取れるのは営業の範囲だけです。
よくある質問
無利子の制度があるのになぜ民間を検討するのですか?
どこから公的な制度のほうが得になりますか?
半休を取らずに手続きする方法はありますか?
都内で働いていると手続きはどう変わりますか?
いくらまで借りられますか?
急いでいる場合はどうなりますか?
さいたま市の地図
社会福祉協議会は市内10区のすべてに置かれています。担当になるのは住民登録のある区で、勤務先が都内であっても変わりません。